民事(家族)信託〜家族と共に考える未来の幸せ〜


ユアサイド行政書士法務事務所(千葉県千葉市)


 ・死後事務委任契約とは

 ・死後事務委任契約の問題点

 ・死後事務委任契約
  問題点の回避方法
  その1(信託契約の活用)

 ・死後事務委任契約
  問題点の回避方法
  その2(寄託契約の活用)

安心・安全な死後事務委任契約

(口座凍結による支払い遅延回避、孤独死の不安解消)


死後事務委任契約とは

 死後事務委任契約とは、本来委任契約は当事者の死亡により終了するのですが、当事者(委任者)の死亡によっては終了しないという条件を付した契約で、委任者の死亡後の事務処理(通夜、埋葬、各種債務弁済等)を受任者へ委任する契約を言います。

死後事務委任契約の問題点

 死後事務委任契約そのものには特に問題は無いのですが、事務処理にかかる費用をどうするかが大きな問題となります。
 なぜなら、単純に受任者へ現金を渡してしまっては、事情の変化等による心変わりで、預けたお金を使われてしまうかもしれないという不安があります。(言い換えれば横領です)
 ならば、契約だけしておいて、お金は銀行に預けておけば良いのかと言うとそうでもありません。なぜなら、委任者が死亡した時点で当該預金口座は凍結されてしまい、相続人による手続きを待たなければ凍結を解除できず、各種支払いが出来ないからです。
 他には、死後事務委任契約をしたうえで、必要となるであろう現金を贈与するという方法もあるでしょう。しかし、贈与の場合には、当然一定額を超えれば贈与税が課されますし、死因贈与や遺贈の場合、であれば、相続手続きとあまり変わりはないので、死後事務(通夜や埋葬等)の速やかな処理に影響が出かねません。
 さらに言えば、遺産分割・遺留分との関係等、問題の解決に時間を要する事が影響しかねない状況に巻き込まれてしまうと言うリスクもあります。
 
 では、それらの問題を回避しつつ、確実かつ速やかに死後事務を処理してもらうにはどうすればよいか。
 その方法は2つ考えられます。
 1つは「信託」を利用する方法、もう一つは「寄託」を利用する方法です。
 それぞれは以下でご説明します。

死後事務委任契約問題点の回避方法 その1(信託契約の活用)

 信託(家族信託・民事信託)契約を活用した方法とはどのような物か。
 信託とはそもそもどのような物かと言うと、詳細は「家族信託のご案内」ページをご確認いただきたいのですが、簡単に説明しますと、特定の財産を特定の人(自然人・法人)に託し、「管理・運用・処分」をしてもらう契約を言います。
 信託では主要な登場人物として「委託者」(信託を依頼する人)、「受託者」(委託者から信託を依頼される人)、「受益者」(信託の利益を享受する人)がいます。
 そして、信託はあくまで「財産」の管理等を行う事をお願いするものですので、財産の管理等と関係の無い事はお願いできません。
 分かりやすく言うと「○○の世話をお願いします」は信託ではできませんが、「お金を託すので、○○に支払ってください」は信託できます。
 では、死後事務を単純に信託できるかと言うと、実はストレートには難しいと言えます。
 なぜなら、死後事務とは「通夜の手配、埋葬の手配、法要等」が主たる事務に当たるからです。
 それでは、死後事務に信託は使えないじゃないか!とお考えになるかもしれませんが、そこは考え様と言いますか、視点を変えれば可能になります。
 どういうことかと言うと(上の表現を使うと)
 ・「通夜の手配をお願いします」は信託できませんが、「お金を託すので、通夜を行いその料金を託したお金から支払ってください」にすれば良いのです。
 これで死後事務委任に信託が使えることがご理解いただけたかと思います。
 しかし、少々気を付けなければいけないのか契約の名称です。単純に「死後事務委任信託契約」とすると、名称を見ただけでは「信託として認められるのか?」と言う疑問を残してしまいます。
 そこで、「財産管理処分信託契約」であったり「財産管理信託契約」等と言う名称にします。そして、別途「死後事務委任契約」も結び、一体化した契約書にします。
 なんだ簡単じゃないか!と思われるかもしれませんが、実は信託ならではの問題が少々あります。
 それは
 ・委託者、受託者、受益者と言う存在を設けなければいけない事(委託者兼受託者は可)
 ・1年ルール、30年ルールがある(信託契約が終了するルール)
 ・受託者は財産の管理運用の状況を定期的に報告しなければならない
 ・原則受託者は無報酬
 これらの事があるので、受託者になってもらえる人を見つけにくいと言う事があります。
 
 当然メリットもあります。
 それは
 ・信託財産は信託目的以外に使えない形にできるので、受託者に勝手に使われる心配が無い
 ・受託者の信託事務を監視できる(信託監督人、受益者代理人の設置)
 ・死後事務以外にも財産(遺産)を使いたい場合には、その内容も信託契約に盛り込むことができる
 ・その2の寄託とは違い「不動産」も託せ、さらに預けるだけでなく「運用」も可能なので、信託した財産から収益を得ることができる
 ・信託口として口座を開設すれば、死亡時に口座凍結による引き出し(解約)不能にならない
 等々メリットは他にもたくさんあります。
 
 では、その2の「寄託契約」を使った場合との違い(使い分け)は何かと言うと。
 ・死後事務に使う分(死後、相続手続きを待たずにすぐに使う分)以外にもたくさんの財産(遺産)を持っていて、その財産の一部を死後事務用に使うため確保しておきたい場合には、この「死後事務委任契約及び信託契約」を使うと良いという事になります。
 そして、死後事務で使う分以外の財産に関しては「遺言」であったり、別の「信託契約」を使い、残された家族の間に争いを残さないようにする事になります。

 その2で説明する「寄託契約」を使った方法と両方お読みいただき、ご自身に合った「終活」に活かしていただければと思います。


死後事務委任契約問題点の回避方法 その2(寄託契約の活用)

 その1で説明した「信託」を使う方法には、説明の通り少々手間(負担)が発生してしまいます。

 そこで、寄託契約を活用した方法があります。
 大まかに説明すると、死後事務をしてほしい人(委任者)と死後事務を処理する人(受任者)で相互に寄託契約を結び、さらに死後事務委任契約と連続性を持たせることで、死後事務に必要となる費用の保全と速やかな死後事務の処理を可能にします。

 ここで、寄託契約の特徴が活かされます。
 寄託契約は、一般的な委任契約等とは違い、寄託者の「死亡、破産、後見開始」が終了事由となっていないため、スムーズに死後事務委任契約に引き継がせることが可能になるのです。
 また、信託のように1年や30年ルールと言う物が無いので、寄託契約で終了事由を決めなけれな、無期限で寄託が可能です。

 とは言え、単純に現金を寄託しただけでは横領のリスクは拭えません。
 そこで、ちょっと複雑な仕組みを介在させ、相互に寄託させるという仕組みにすることで、簡単には寄託した現金を受寄者が使えないようにします。
 そして、最終的に寄託者(死後事務委任契約の委任者)が死亡した時に、寄託していた現金を、死後事務処理のための費用として受任者に引き渡す事が出来ます。
 ここで「引き渡す」と言うのがポイントの一つになります。贈与等ではなく、あくまで事務処理費用を渡しただけで、現金は受任者のものになる訳ではありません。(ですので当然贈与税などは発生しません。)
 
 簡単に記載しましたが、ここにはたくさんのメリットが隠されています。
 メリット1:寄託物はあくまで寄託者の物で、単に預けているだけなので、当然「贈与税などは発生しません」。
 メリット2:銀行預金として預ける訳ではないので、寄託者の死亡による口座凍結の影響を受けません。
 メリット3:寄託物はあくまで寄託者の物ですので、受寄者の財産とはなりません。もちろん、明確に「寄託物」である事が分かるようにはしますし、受寄者の死亡により寄託契約を終了させるようにもするので、寄託した現金が誤って受寄者の相続財産として処分される事もありません。
 メリット4:受寄者はただ預かるだけなので、信託の時のように管理運用(保管)の状況を定期的に報告する義務はありません。(寄託者に求められたときに保管状況の報告を行う)

 死後事務以外にも、財産を色々な目的や方法で使いたい(残したい)場合には信託を利用する方がメリットはありますが、身内がいない、身内が遠方や海外にいてスムーズな死後事務を行う事が難しい、死後事務で要する費用程度しか財産(遺産)が無い、近所に身内はいるけど、さすがに現金をそのまま預けるのには不安がある。
 そのような場合には、信託や遺言を使うよりも、この相互寄託契約と死後事務委任契約を連続して行える方法で、ご希望を叶えることが可能になります。
 信託契約は、その複雑さから契約書の作成に時間を要し、当然ながら費用(報酬)も多額になってしまいますが、この相互寄託及び死後事務委任契約は、ほぼ定型的な内容になるため、費用(報酬)も低額で済みますし、場合により私が寄託契約の一方及び死後事務委任契約の受任者となる事も可能です。(信託の受託者のような制限はありません)
 
 「上記のような事情に該当する!」と感じた際には、ぜひご連絡(ご相談)ください。
 あなたの終活に安心を与えることができるはずです。




※ いずれの契約書も公正証書とする事が可能です。(お勧めします)
※ 公正証書は公証役場にて作成します。